画像解析ソフトウェアによる工業規格に準拠した鋳鉄の黒鉛球状化率の評価
熱処理工程
アプリケーション
鋳造性に富み、大型なものや複雑な製品も作りやすい鋳鉄は、鋼に比べ安価で生産も容易であるため、幅広い製品や用途で使われています。通常の鋳鉄は細長い片状黒鉛を有しており、もろく衝撃に弱いためクランク軸、ロッカーアーム、各種歯車などの重要機械部品には熱処理により黒鉛を球状化した強靭鋳鉄が使用されます。黒鉛の球状化率(%)は、JIS等の工業規格により判定方法が規定さており、金属片を切断、樹脂埋め、表面研磨後も、顕微鏡で拡大観察し、球状化率が判定されます。昔は、工業規格書に添付された形状別の標準図のどれに近いかを1黒鉛毎に目視判定し、サンプル毎の球状化率が算出されておりましが、定期的に必要な検査員の教育コストの削減と検査員によるバラツキ排除のため、ソフトウェアによる半自動的な算出が今では主流となっております。規格の形状別標準図の小さな差異の識別が難しいため、ソフトウェアでの判定精度を上げるには、人間の判断による微修正が必要なことも課題となっています。
オリンパスのソリューション
オリンパスの画像解析ソフトウェア OLYMPUS Streamの「粒度解析」ソリューションは初めて使う検査員でも、工業規格を選択し、ソフトウェアのガイダンスに従い操作を進めるだけで、その工業規格に準拠したサンプル毎の「黒鉛球状化率」を算出し、測定結果を画像に付加情報として埋め込むことができます。OLYMPUS Streamを使うと、複数の計測パラメーターを絡めた独自アルゴリズムを使用することで、様々な黒鉛形状に対して、人間の見た目の判断に近い形状分類ができるという点も、お客様から受入れられている理由です。ISO945-2, JIS G5502, ASTM A247, ASTM E2567-11, EN ISO 945-1, NF A04-197, GB/T 9441, KS D 4302の規格に対応しており、サンプルをエッチング処理後のフェライト/パーライト率の計測も可能です。
片状黒鉛の例 | 形状分類判定された球状黒鉛鋳鉄 |