医療用注射針
アプリケーション_測定顕微鏡による注射針の測定・外観観察のマルチ検査
医療用の注射器は薬液注入、血液や体液の採取・輸血をする際に人体に穿刺します。
人体に直接針を刺すため、注射針の材質、形状、強度に対して国際規格やそれをもとにした国別の規格が設定され厳しく管理されています。形状に関しては長さと外径および針先角度の寸法に関して規定されており、注射針の外観、内面に関してはキズがなく、異物が付着しておらず、仕上げ面が滑らかであることが要求されています。
注射針イメージ図
測定顕微鏡STM7で解決できること
オリンパスの測定顕微鏡STM7は注射針に対して規定されている寸法の測定と外観の検査を1台ですべて行うことができます。注射針の寸法測定と外観検査では、測定顕微鏡にCCDカメラを付け、PCのソフトウェア(測定支援ソフトウェアSTM7-BSW)で画像を観察しながら計測するというケースが多くあります。外寸測定においては、測定顕微鏡の照明を下から注射針に照射して、CCDに投影された外観像の寸法を測定する方法が一般的となっており、照明の光路に緑色のフィルターを挿入して照射する光を緑色にします。そうすることにより、注射針外観のエッジのコントラストが強調され、計測の際の端面を決めやすくなり作業性が向上します。
注射針の測定における測定顕微鏡STM7の3つの大きな特徴をご紹介します。
① 注射針の長さ測定における特徴
測定顕微鏡はステージの移動量で測長します。したがって、注射針の長さが対物レンズの1視野を超える長さであっても、針の端面から端面までステージを移動させれば測長できます。STM7は100mm × 100mmから300mm × 300mmの移動量のあるステージのラインアップがありますので、現存するすべての医用注射針の長さを測ることが可能です。
STM7-CS100 100mm × 100mm | STM7-CS200 200mm × 200mm | STM7-CS300 300mm × 300mm |
STM7のステージラインアップ |
針の長さを測定しているイメージ図
ステージはXY方向に直進移動します。STM7-BSWで測定する場合はソフトウェアで任意の座標軸を設定できるため、必ずしも注射針をステージと平行に設置しなくても正しい計測を行うことが可能です。
元の座標軸 | 新たに設定した座標軸の事例 |
② 注射針の太さ測定における特徴
針の太さを測定しているイメージ図
上記のように注射針のエッジの3点をクリックするだけでデータを取得することができます。(実際のGUIでは上記画像に描かれている赤い点や線は表示されません)また、測定者による測定結果のバラつきを解消するために、STM7-BSWにはエッジの自動検出機能も備えています。
矩形で囲んだエリア内でサンプルと照明のコントラストが一番強い点がエッジと認識されます
③ 注射針針先角度測定における特徴
針の刃先の角度を測定しているイメージ図
上記のように注射針の刃先のエッジの3点をクリックするだけでデータを取得することができます(実際のGUIで は上記画像に描かれている赤い点や線は表示されません)。
④ 注射針の刃先の刃面の状態を観察する際の特徴
注射針の刃面の外観検査は落射照明を使用します。刃面は極細菅を斜めにカットして製作されているため、ピント合わせが非常に難しいケースが多く見受けられます。しかし、測定支援ソフトウェアSTM7-BSWはオプションで画像全面に焦点を合わせることができる拡張焦点機能を備えており、この拡張焦点機能を使えば、刃面の全面にピントが合った画像を取得する事も簡単に行うことが可能です。
管の一部にしかピントが合っていません |
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