フェーズドアレイを使用した列車車輪の検査

背景

鉄道の車輪検査には、製造工程とメンテナンス時において厳しい規制が適用されています。こうした厳しい規制要件を満たすため、オリンパスでは、鋳造車輪の検査、あるいはその製造時や再プロファイル後の稼働時の検査に使用する、強力で柔軟性のある超音波探傷器、専用ソフトウェア、およびターンキーシステムをご用意しています。

標準的な検査手順

製造後検査

鋳造車輪や鍛造車輪の製造時には、超音波フェーズドアレイ技術を使用してリムの検査が行われます。車輪の残りの部分には磁粉探傷試験が適用されます。

リムの検査では、1つのリニアフェーズドアレイプローブをトレッド面上に置き、2つ目のプローブをリム側に置きます（図1）。

このプロセス中に、3つ目のリニアフェーズドアレイプローブを使用してハブを検査することもできます。また、ハブは両側から検査することもできます（図2）。

図1：リムは2つのリニアフェーズドアレイプローブを使用して検査します。

図2：車輪のハブは3つ目のリニアフェーズドアレイプローブを使用して検査します。

メンテナンス時の検査

メンテナンス中の鉄道車輪には定期的な再プロファイルが必要です。このプロセスでは、車輪から材料が取り外され、元のプロファイルに復元されます。再プロファイルが完了すると、トレッドからリニアフェーズドアレイプローブを使用して車輪のリムがチェックされた後、運転に戻ります（図3）。通常、この用途では5 MHz、128素子のフェーズドアレイプローブを使用します。対象領域をカバーするためにリニアスキャンが実行されます（図4）。

図3：リニアフェーズドアレイプローブを使用したトレッドの検査。

図4：リニアスキャン

システム性能

トレッドの検査ソリューションは、1～3.2 mm径の平底穴と同等サイズの欠陥を検出するように設計されています。標準的なデッドゾーンは、リム面から10～5mmの深さです。ソフトウェアの特殊機能を使用することで、デッドゾーンをさらに狭めることができます。

図5：このソリューションによって車輪探傷をすばやく行えます。

図6：車輪探傷専用のソフトウェア

車輪製造の検査要件を満たすため、リムの検査では3mm径の平底穴と同等サイズの欠陥を検出できます。この検査は、2db、SN比（SNR）22dB、標準デッドゾーン>6mmの再現性があります。検査速度は1秒当たり4～8インチであり、ユーザーは36インチの車輪を30秒以内で検査できます。この検査手順は、列車車輪検査の国際規格であるEN13262、ISO5948、AAR M-107/M-208を満たすか、上回ります。

図7：製造時の車輪リム検査用フェーズドアレイプローブ付き水浸タンク

結論

オリンパスの列車車輪検査ソリューションは、高速かつ正確な検査結果を得られるため、重要な輸送システムの信頼性と安全性の確保に役立ちます。利用できるソリューションは、ターンキー機器と水浸プローブのほか、産業用グレードのキャビネットに収容されたFOCUS PX™フェーズドアレイデータ収集装置と解析ソフトウェアから構成されます。