概要
TOFDは様々なアプリケーションで使用されていますが、その主要な使用方法は垂直TOFD走査として知られている周方向及び軸方向の溶接線の迅速な溶接検査です。1970年代にTOFDが発表されて以来、信頼と定評のあるこの非侵襲的な検査方法の使用頻度は着実に高まっています。TOFDはマニュアルで実行することもできますが、大概は記録装置、つまりエンコーダーもしくは工業用スキャナーと組み合わせて実行されます。北米の法規や規格に準拠するために、TOFDは多々パルスエコーやフェーズドアレイ技術と組み合わせて溶接のルート部とキャップ域までカバーするようにして使われています。
人気のあるTOFD溶接部検査技法
TOFDは単独もしくは他の超音波技法と組みあわせて利用できます。よく用いられる技法は以下の通りです:
- シングルグループTOFD
- マルチTOFD
- TOFDとパルスエコー/クリーピング波
- TOFDとフェーズドアレイ
TOFDの基本理論
TOFDは大概、縦波を主要な検出手法として用います。超音波センサーが溶接部の両端に配置されます。一方のセンサーが検査材料に超音波ビームを送り、もう一方のセンサーが何らかの異常や幾何学的反射体によって反射また回折した超音波を受け取ります。TOFDは、検査材料とウェッジ内における超音波ビーム伝搬理論を利用することにより、単一のビームで広い領域をカバーします。ビームが傷やひびの末端と触れた時、回折エネルギーが全方向に伝搬します。傷やひびが最初のビーム方向に対して方向がずれている場合でも、回折ビームの伝搬時間を測定することにより、迅速かつ信頼性をもって欠陥の検知とサイジングができます。典型的なTOFD検査の場合、Aスキャンが収集され、それをもとに溶接部のBスキャン(側視)画像が作成されます。分析はデータ収集機器で、またはその後の時点で解析ソフトウエアを使用して、カーソル位置をもとに欠陥の長さと深さを測定します。
反射及び回折音の図示
TOFDでカーソルを用いた欠陥の深さのサイジング例
溶接部検査におけるTOFDの主な利点
- 回折に基づいているため、溶接のベベル角度や欠陥の方向にあまり影響されない
- ひび割れ先端からの信号の到着時間を利用した欠陥の正確なポジショニングとサイジング
- 精密なサイジング能力による理想的な欠陥モニタリング手法
- 単一のビームで広い面積をカバーできることによる速やかな検査のセットアップと実行
- イメージングとフルデータレコーディングを用いたラピッドスキャン
- 腐食の検査にも利用可
- 従来型の機器(シングルパルサーとレシーバ)及び従来型プローブを使用するため、フェーズドアレイより経済的な機器要件
- 欠陥のタイプに制限されない鋭敏な溶接欠陥検知
典型的なTOFD機器
- OmniScan SX UT または他の OmniScan MX/MX2/SXモジュール(使用する技法による)
- TOFDスキャナー:HST-Lite等
- 湿らせたTOFDプローブ:CentraScan等
- TOFDウェッジ:Rexoliteまたはステンレス鋼
- 測定後の分析や技法の開発ソフトウエア(オプション):NDT Setup BuilderとOmniPC
- 送水(接触媒質)システム:WTR-SPRAYER-8Lまた同等品
結論
TOFDは優れた欠陥検知及びサイジング能力により、迅速な溶接検査を提供します。回折技法は、ベベル角度や欠陥の方向性にあまり影響されずに際立つサイジング能力を提供します。TOFDは単独で、もしくは他のNDTテクニックと組み合わせて利用できます。