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高分解能レンズでの高精度測定 – 高解像デジタルマイクロスコープによる積層セラミックコンデンサの内部レイヤー厚さ計測


積層セラミックコンデンサイメージ

積層セラミックコンデンサイメージ
 

アプリケーション_積層セラミックコンデンサの誘電体厚さ計測

① コンデンサとは?

コンデンサは電子機器に必ず搭載される重要な受動部品の1つです。その基本的な性質は、瞬間的に電気を蓄え、放出するというものです。
コンデンサは絶縁体をはさんで2枚の金属板が向かい合っている構造をしています。金属板に電圧をかけると金属板にプラスとマイナスの電荷が流入しますが、絶縁体があるため電流は流れません。プラスとマイナスの電荷は引き合いますが、電流が流れないため電荷は金属板内に蓄積され、限界まで電荷が蓄積されると蓄積は止まります。限界まで蓄積された電荷の量を静電容量と言います。静電容量は金属板の大きさと金属板の間隔の距離、絶縁体の材質で決まります。金属板の面積は大きく、間隔は狭いほうが静電容量は大きくなり、この金属板は電極と呼ばれます。また、絶縁体の材料はその材料固有の誘電率(電気的にプラスとマイナスに分かれる分かれやすさ)が高いと静電容量は大きくなります。そのためコンデンサに使用される絶縁体は誘電体と呼ばれます。
蓄電されたコンデンサの金属板に導電回路をつなげると瞬間的に放電します。また、交流電流しか通さないという性質から、電気回路の電圧を安定させるという機能もあります。
さらに、周波数が高い交流電流を通しやすいという性質から、電流のノイズを除去するという機能も持っています。

② コンデンサの種類

上述のような性質、機能を持つコンデンサですが、その特性によって、いくつかの種類があります。
静電容量の大きさが大きい電解コンデンサ、温度による静電容量の変化が少ないフィルムコンデンサ、小型で高周波特性が高いセラミックコンデンサなどがあります。
特に最近では、積層セラミックコンデンサ(MCLL)が注目されています。電極と誘電体の積層数を多くし、大容量に対応できる技術が実現したことにより、モバイル端末から自動車まで幅広い分野の製品に多数のMCLLが利用されています。また、今後世界で広まっていく5Gに用いられる機器には多数のMCLLが搭載されることが予測されており、より小型で、より大容量のMCLLの需要が高まっています。
上述したように、コンデンサの容量の大きさは電極の面積の大きさに比例し、誘電体の幅に反比例します。したがって、小型でありながらMCLLの積層数を多くして大容量化することは、電極と誘電体の層をより薄くすることが必要となります。

積層セラミックコンデンサの内部イメージ図

積層セラミックコンデンサの内部イメージ図
 

現在、電極、誘電体の層は1層数umと言われています。この層の厚さを管理することが品質管理上重要な項目となります。そのために、顕微鏡レベルの解像力で層の厚さ測定を行うことが必要となります。
 

デジタルマイクロスコープDSX1000シリーズで解決できること

① マクロからミクロ領域まで倍率を素早く切り替えできます

MCLL内部の電極や誘電体の厚みを測定する場合、まず測定の必要がありそうな部分の「あたり付け」を行います。「あたり付け」は低倍率で広い範囲を俯瞰して行います。測定箇所が決まったら、その部分を測定可能な倍率まで拡大します。まずズームアップによって倍率を拡大するのが一般的ですが、サンプルによって、ある倍率まではズームアップで測定可能です。しかし、ズームアップは倍率を拡大させますが、画質を向上させるわけではありません。つまり、見えないものが見えるようにはならないということです。画質の向上は対物レンズの分解能力に依存するため「あたり付け」の倍率と、測定時の倍率の差が大きい場合は、対物レンズを交換する必要があります。従来多くのデジタルマイクロスコープは、対物レンズの交換時に、カメラやケーブルの脱着作業が必要でした。その結果測定箇所を見失ってしまう不便な事態も多く発生していました。
オリンパスのDSX1000はズームヘッドに最大2本の対物レンズを同時装着することができます。その対物レンズを前後にスライドさせるだけで簡単に対物レンズが交換可能であり、それにより測定箇所がずれてしまうことがありません。

マクロからミクロ領域まで倍率を素早く切り替えできます

さらに現在装着されていない対物レンズに交換する場合も、レンズが装着されたアタッチメントをヘッドにスライドして挿入するだけで交換できます。その際も観察位置がずれてしまうことはありません。

マクロからミクロ領域まで倍率を素早く切り替えできます

もちろん、10倍のズーム比の電動式光学ズームも備わっていて、コンソールのジョグダイヤルを回すだけで簡単に倍率を変更することができます。

光学ズーム

このようにオリンパスDSX1000は幅広い倍率と高い分解能力を簡単に選択することができます。

低倍率で測定したい位置の「あたり付け」を行います(総合倍率700X)

低倍率で測定したい位置の「あたり付け」を行います(総合倍率700X)。

測定エリアが決まったら、倍率を測定に適した倍率まで拡大します(総合倍率2500X)

測定エリアが決まったら、倍率を測定に適した倍率まで拡大します(総合倍率2500X)。
誘電体と電極の界面がはっきりと写っています。

② 画像を選ぶだけで最適な観察方法に切り替えできます - マルチプレビュー機能

顕微鏡はさまざまな観察方法があります。MCLLの電極と誘電体の積層状態の一番観察しやすい方法をすぐに選択することは顕微鏡観察に慣れていない人にとっては簡単ではありません。そこで、DSX1000はすべての観察方法で取得したサンプル画像を瞬時に自動提示することが可能です。提示された画像から最も観察しやすい画像を選択するだけで、その観察方法に切り替わります。観察方法を考える時間が不要となり、どなたでも測定、解析をすぐに行うことができます。

マルチプレビュー画像例

マルチプレビュー画像例
 

今回の積層セラミックコンデンサ断面サンプルは偏光観察が一番クリアな画像でした。

測定画面

電極層厚さ測定画面

電極層厚さ測定画面
 

電極と誘電体は色調のコントラストに差があります。
その差をプロファイルで表示して、電極と誘電体の層の厚さを測定することができ、さらに任意の数と位置を測定できます。
 

Olympus IMS

この用途に使用される製品

高度な光学技術とデジタルイメージング技術を融合した、オリンパスのデジタルマイクロスコープDSX1000シリーズ。解析業務スピードの飛躍的向上と充実した精度保証によりをワークフロー革新を実現します。ISO/IEC 17025認定校正に対応しています。

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