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複合材航空機のコーティング厚さ測定:合計厚さから各層の厚さまで


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このアプリケーションノートでは、航空宇宙産業用の複合材料に施された複数層のコーティングに対して、合計の厚さと各層の厚さを測定する方法について説明します。複合材航空機の塗装とコーティングの厚さ管理は、初期製造時と損傷領域の修理・再塗装後に重要です。

航空機に使用する複合材料の背景

航空機の製造に複合材料を使用する最大の利点は、重量の削減です。複合材料を使用すると、航空機の余分な重量を削減できるので、機体の空気力学的な効率が上がります。複合材料の使用量が増えるほど、機体効率は向上します。

複合材料に施すコーティングには、装飾的なアピールの付加や航空会社のブランド表示など、いくつかの重要な機能があります。航空機複合材料に塗装する最も重要な技術的理由は、流体損傷からの複合材料の保護です。樹脂の中には水に長期間接触すると影響を受けるものがあり、大気条件の変化(氷結や解凍など)によって複合材料の構造が損なわれる場合があります。コーティングには、油圧油、燃料、解氷剤などの液体によるその他の損傷から複合材料を保護する役割もあります。航空機の複合材料コーティングには、軽量性、柔軟性、液体や腐食への耐性、長い耐用年数が求められます。

複合材航空機のコーティング厚さを測定する重要性

コーティング厚さの管理は、航空機の重量削減に貢献します。コーティングが厚すぎると、航空機の落雷保護の性能に影響するおそれもあります。航空機の複合材料には、材料上部の薄い層などに用いられる金属箔メッシュタイプのものや、最上層に織り込まれたり埋め込まれたりする金属ワイヤーがよく使用されます。このメッシュは、機体の落雷を受けやすい領域に付加されるのが一般的です。金属メッシュがあることで、アルミニウム製の機体と同様に、複合材料製の機体の表面全体に落雷を消散させることができます。

複合材航空機に施された塗装やコーティングの合計の厚さは、通常、品質管理において最も重要です。コーティング各層の厚さを把握することも、品質管理上、多くの場合に重要です。各層が塗布されたとおりの一貫性を保つように管理しやすくなるためです。複合材航空機のコーティングは、一般に4層以上あり、帯電防止コーティング、中塗り層、プライマー、1層以上のトップコートが含まれます。

複合材航空機のコーティング厚さ測定に使用する超音波機器

高度な超音波厚さ計の中には、コーティングの合計の厚さと各層の厚さを1回の検査で測定できるものもあります。この機能によって、航空機メーカーが全体の厚さと各層の厚さを非常に効率よく確認できます。

複合材航空機のコーティング全体の厚さは、一般に約0.020インチ(0.50 mm)以下で、各層の厚さは0.002インチ(0.050 mm)ほどです。72DL PLUS™超音波厚さ計は、一振動子型探触子とともに0.5 MHz~125 MHzという広い周波数範囲で作動し、非常に薄いコーティングや層を測定できます。ほとんどの超音波精密厚さ計では、約20 MHzまでの探触子しか使用できず、薄いコーティングの測定能力が制限されます。

72DL PLUS厚さ計では、最大6層の厚さを一度に表示することもできます。製造工程は異なる場合があるため、特定のアプリケーションで合計の厚さまたは各層の厚さが測定可能かどうかを評価することが重要です。

複合材航空機のコーティング厚さを測定する手順

以下の例は、航空宇宙用複合材料に施された複数層コーティングの厚さを、超音波厚さ計で測定する手順を示しています。

合計厚さ:この測定では探触子を20~50 MHzの範囲で使用します。厚さ計は、内部層からのエコーを抑制するように調整します。厚さ計で測定されるのは、正面から複合材料構造の最上部までの合計の厚さです。

下の波形は、中塗り層と2層のトップコートを持つ航空機複合材料からの信号を示しています。ディスプレイは、複合材料サンプルの3層の合計厚さを測定するように最適化されています。測定値の取得には、M2017(20 MHz)探触子とともに72DL PLUS厚さ計を使用しました。

複合材航空機のコーティング厚さ測定:合計厚さから各層の厚さまで

合計厚さ

各層の厚さ:この測定では、複合材料上の3層のコーティングごとにエコーを増幅するように、20 MHzの探触子と超音波設定が最適化されています。コーティングには中塗り層と2層のトップコートが含まれます。

下の波形は、複合材航空機サンプルのすべての層について、3層それぞれの厚さと、合計厚さ(総計)を示しています。測定値の取得には、M2017(20 MHz)探触子とともに72DL PLUS厚さ計を使用しました。

各層の厚さ
 

Olympus IMS

この用途に使用される製品

72DL PLUS™高性能超音波厚さ計は、高速で精密な厚さ測定が可能な小型で使いやすい装置です。125 MHzまでの一振動子型探触子に対応するこの革新的な厚さ計は、極薄材料(複層の塗装、コーティング、プラスチックなど)の厚さ測定に最適です。同時に6層までの厚さを表示できます。

多用途に対応可能な38DL PLUS™厚さ計は、二振動子型探触子を使って腐食したパイプの厚さを測定したり、一振動子型探触子を使って薄い材料または多層材料を極めて正確に測定したりすることが可能です。
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