概要塩素は優れた化学特性を有するため、多様な用途で使用されています。建設業界では、塩素は、主にポリ塩化ビニル(PVC)として使われています。PVCは、柔軟性、耐久性、信頼性、多用途性、耐漏洩性、耐燃性、耐腐食性、耐微生物増殖性を備えています。PVCの塩素含有率は、代表値で約55%です。 残念ながら、PVCには環境に有害な副次的影響を引き起こす可能性があるという欠点があります。PVCは燃焼する際、塩化水素やダイオキシンを発生し、環境に放出することがあります。実際に燃焼する前に、PVCが分解することによって、人間にとって最も差し迫った脅威を引き起こすと考えている人もいます。PVCが壁の内側の配線や配管に使用されているビルで火災が発生すると、PVCが実際に発火する前の段階で、加熱によって比較的低温で分解することが特に懸念されています。 |
PVCによる最大で長期間にわたる脅威は、耐用年数の終了時にリサイクルされるときに起こりえます。製品になるまでにさまざまな添加物や調合物が混合されるため、ダイオキシンや有毒金属がリサイクル時の焼却中に大気中に決して放出されないように、PVCを測定することが必要です。
PVCが健康上有害なものであることに加え、発生する塩酸の腐食性は、焼却炉内の金属や煉瓦も含め、リサイクル設備に深刻なダメージを与える可能性があります。
PVCは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの他のリサイクル済みプラスチックの品質を損なうこともあり、リサイクル製品の価値を大きく低下させます。リサイクル施設では、不要なPVC容器を分別する必要があります。PVCに代表値で約50%強含まれる塩素の検出は、他のプラスチック製品からPVCを分別するのに適した方法です。
ハンドヘルド蛍光X線分析計の特長操作が簡単なこのハンドヘルド蛍光X線分析計は、現場での塩素の高品質な分析を実現し、対象物を高速かつ容易に測定します。PVCを識別し、Cl含有量を3秒ほどで測定します。3秒間の選別測定での、Clの検出限界は約1%です。 この分析計では、Br、Sb、Ba、Znの他、Pb、Cd、Hg、Cr、Asなどの有害金属の含有量を数秒で測定することも可能です。 |
性能パラメータ | |
PVCの選別時間(秒、代表値) | 2~3 |
Cl検出限界(%) | 1 |
分析測定時間(秒) | 30 |
Cl検出限界(%) | 0.35 |
現場での塩素(Cl)分析ハンドヘルド蛍光X線分析計は、非破壊かつ簡単・迅速に、塩素の正確な測定結果を提供します。DELTAは、Cl、Br、Sb、および20種類を超える金属について工場で校正されており、ppmおよびパーセントオーダーで濃度を測定できます。ユーザーは、新しい元素を追加したり、独自の検量線をいつでも作成したりすることができます。 右のグラフ(fig.1)は代表的なClの検量線で、プラスチックに含まれるCl濃度の測定値が標準物質の2次曲線と相関し、R2値で0.9967という優れた値であることを示しています。PVCは、通常2~3秒間の測定で選別されます。5秒間の高速選別では、PVCに含まれるClのLODは約1%です。 いくつかの用途では、より長い時間測定することによってより低レベルのCl濃度を求めることが必要となります。測定時間を30秒にした場合、PVC内のClの検出限界はおよそ0.35%です(右のfig.2を参照)。 ハンドヘルド蛍光X線分析計を使用することでPVC内の塩素をその場で分析することができ、安価で簡単な予防手段となります。また、合金や環境試料を分析でき、他のたくさんの物質の分析にも使用できます。 ハンドヘルド蛍光X線分析計は、トラブルを未然に防ぐためのツールで、不具合が発生する前に工程や装置の潜在的な問題を検出することができます。非破壊で測定できるハンドヘルド蛍光X線分析計は、時間や費用を節約でき、費用対効果が優れたスクリーニング手段です。エンジニアはラボでの分析も含め、さらに調査が必要な物質が何かを特定することができます。 まとめ著しい進歩により、ハンドヘルド蛍光X線分析計の元素分析のための技術は新たな段階に移行しています。購入しやすく、使いやすく、信頼性があるハンドヘルド蛍光X線分析計は、熟練者でなくても使用でき、ラボでの高度な分析を行う場合でも、総合的な費用対効果に優れています。 |
このX線管内蔵の蛍光X線分析装置には、バッテリ駆動の小型X線管、高分解能のシリコンドリフト検出器またはシリコンピン検出器、高速データ収集回路、計算/測定結果/データ保存/ユーザーインタフェース用の小型演算処理装置などの最先端の技術を統合しています。単一の「X線管」設計により、真の同時金属分析を実現しています。