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RollerFORMホイール型スキャナーを使用した炭素鋼での腐食マッピング


スキャナーを使用してマッピングできる炭素鋼パイプの腐食例
スキャナーを使用してマッピングできる炭素鋼パイプの腐食例

要約

腐食マッピングは、炭素鋼の状態をモニターするための検査手法です。 オリンパスは、腐食マッピングに超音波フェーズドアレイテクノロジーを使用する製品を複数ご用意しています。 ソリューションの範囲を拡張するため、オリンパスは、RollerFORMホイール型スキャナーとOmniScanを組み合わせて炭素鋼での腐食マッピングをテストし、可能であることを証明しました。

RollerFORMホイール型スキャナーを使用した理由は、独自のソフトタイヤ材により、高品質な水浸探傷と同等の超音波試験を行えるためです。 最低限のカプラント(接触媒質)と圧力で、優れたカップリングを実現し、スキャンの難しい部位でも強い信号を得ることができます。

RollerFORMホイール型スキャナーが腐食マッピングに適していることは、以下に示す一連のテストから証明されています。

  • 表面近傍分解能
  • 最小欠陥サイズの検出
  • 表面の最高温度
  • パイプの長手方向スキャン
  • 腐食サンプルの証明検査

課題

炭素鋼での腐食マッピング用ソリューションとしては、HydroFORMスキャナーデュアルリニアアレイプローブの2つがよく知られています。 ただし、用途によっては、これらのソリューションには一定の限界がある場合があります。

  • HydroFORMスキャナーは、局所水浸法で粗い表面での良好なカップリングを実現し、広い領域を検査できます。 半自動または自動のスキャナーと併用すると効率的なソリューションになりますが、給水システムを遠隔地から管理するのは難しい場合があります。
  • デュアルリニアアレイプローブは、表面近傍分解能(NSR)が重要な、小さくて滑らかな領域の腐食スクリーニングを手探傷で行う場合に適しています。 ただし、小型でウエッジ接触面が硬いため、有用性が制限される場合があります。
HydroFORMスキャナー
HydroFORMスキャナー
デュアルリニアアレイプローブ
デュアルリニアアレイプローブ

これらの手法の限界を克服するために、給水管理システムを持たずに中規模エリアを検査できる簡単で高速な方法が必要であることが明らかになりました。

課題

RollerFORMホイール型スキャナーは、配置が容易で、様々な形状の表面に対応するソフトホイールを使用しているため、炭素鋼の腐食マッピングソリューションとして有望です。 中規模エリアのほか、材料の長く狭い部位の検査(パイプの長手方向に沿った検査など)もスピーディに行うことができます。 炭素鋼での腐食マッピングに対する適合性を確認するため、一連のテストを計画し、実施しました。

RollerFORMホイール型スキャナーを使用した炭素鋼での腐食マッピング
RollerFORMホイール型スキャナー

テスト結果

表面近傍分解能(NSR)
RollerFORMをOmniScan SXに接続し、最適なNSRに必要な音響パラメーターを判別するため、30 FBH(平底穴)校正ブロックに対してテストを行いました。 このブロックは、さまざまな深さに以下の直径の平底穴が加工してあります。

30 FBH校正ブロック
30 FBH校正ブロック
  • 1.175 mm(0.475インチ)
  • 1.980 mm(0.780インチ)
  • 3.175 mm(1.125インチ)

すべてのテストは3.175 mm径の平底穴に対して行い、フォーカルロウごとに4素子の0°垂直探傷スキャンを使用しました。 スキャン分解能は1 mm × 1 mm、ビーム範囲は48.5 mm(1.91インチ)でした。

最適なテスト条件下で、NSRは2.75 mm(0.108インチ) でした。 日常使用の場合、炭素鋼でのNSRは3 mm(0.118インチ)と 想定されます。 振幅C-スキャンを使用すると、さらに浅い欠陥を検出できました(以下参照)。 このようにして、浅い位置の欠陥により起こる底面減衰を可視化することができました。 ただし、重大な欠陥の場合、さらに精密な検査手法(デュアルリニアアレイプローブ、HydroFORMスキャナー、厚さ計など)を使用して深さを測定することをお勧めします。

RollerFORMホイール型スキャナーを使用した平底穴の検査
RollerFORMホイール型スキャナーを使用した平底穴の検査
OmniScanを使用した振幅C-スキャン
OmniScanを使用した振幅C-スキャン

最小欠陥サイズの検出

小さい欠陥を検出するには、通常、高い周波数が適しています。 ポリマーは高い周波数をカットする性質があるため、RollerFORMスキャナーで使用できるプローブ周波数は最大で5 MHzです。 スキャナーで検出可能な最小欠陥を判断するため、30 FBHブロックに対してテストを行いました。

以下に示す厚さC-スキャンでは、1.980 mm径の平底穴と3.175 mm径の平底穴を検出できました(横列番号2と3)。 この手法で検出できなかったのは、最小の1.175 mm径の平底穴のみでした。 ただし、同じOmniScanの振幅C-スキャン手法を採用すると、最小の直径の平底穴も検出できました。 重要なゾーンのスキャンには、異なる手法(HydroFORMスキャナーやデュアルリニアアレイプローブなど)も検討できます。

厚さC-スキャンを使用した最小欠陥サイズの検出
厚さC-スキャンを使用した最小欠陥サイズの検出

温度テスト

高温部品では、保守点検時の腐食検査が頻繁に必要となります。 スキャナー構成部品の劣化が生じることなくRollerFORMスキャナーが一時的に部品に接触し続けられる最高部品温度を判別するため、温度テストを行いました。 その結果、RollerFORMスキャナーのポリマータイヤが最も温度感受性の高い構成材であることが示されました。 加熱された部品に行った複数のテストから、スキャナーは、最高80 ℃(176 °F)の表面に最長2分間使用できることが明らかになりました。 スキャナーは次に使用する前に冷却する必要があります。 このデューティサイクルでは、周囲温度25 ℃(77 °F)以下と想定しています。 周囲温度が25 ℃(77 °F)を上回る場合、ユーザーは作業条件に合わせて適切なデューティサイクルを慎重に定める必要があります。

RollerFORMホイール型スキャナーでのパイプの検査
RollerFORMホイール型スキャナーでのパイプの検査

パイプの長手方向に沿った検査

RollerFORMホイール型スキャナーは、パイプの長手方向に沿った長いスキャンに有用であることが実証されています。 ソフトタイヤの表面と調整可能な中央ホイールのおかげで、最小直径102 mm(4インチ)の曲面から平板に至るまで使用できます。 MXU 4.4(またはそれ以上のバージョンのソフトウェア)を使用して、フォーカルロウをOmniScanに直接生成しました。 部品と溶接部のウィザードで、曲面を生成して長手スキャン方向を選択することができました。 OmniScanは、表面に対して垂直を維持する超音波ビームを自動的に生成できました。

HydroFORMスキャナーHydroFORMスキャナーデュアルリニアアレイプローブ

RollerFORMホイール型スキャナーの長手スキャンプラン(左)、検査(中央)、調整可能な中央ホイール(右)

腐食サンプルの証明検査

テストサンプルは、肉厚9 mm(0.35インチ)、 直径508 mm(20インチ)のパイプから切り出しました。 このサンプルには、内部表面に重大な腐食、外部表面に軽微な腐食がありました。 スキャンは、サンプルの(外部表面の)円周軸に沿って実行しました。 表面は、1 mm × 1 mmの分解能で検査しました。

腐食は、S-スキャン画像およびC-スキャン画像ではっきりと確認できました(下の右の画像)。 C-スキャンの青色の部分は公称厚さを表します。 腐食の度合いは、黄色から赤色の範囲の設定可能な色で示しました。

テストサンプル — 腐食した曲面
テストサンプル — 腐食した曲面
腐食したサンプルの検査データ
腐食したサンプルの検査データ

結論

RollerFORMホール型スキャナーは、表面分解能が3 mm、検出可能な最小欠陥サイズが2 mmと音響特性上の制限もありますが、炭素鋼での腐食マッピングに有用なツールであることが実証されました。 給水管理の必要がなく、素早く配置でき、簡単に使用できました。 また、パイプの長手方向の高速スキャンストリップにも対応しました。

Olympus IMS

この用途に使用される製品
この新ソフトウェアは、OmniScanデータ解析のための効率的で低価格のオプションソフトウェアです。 OmniScan搭載のソフトウェアの同じ解析ツールを備えており、PC上で自在に操作することができます。
シングルグループで軽量のOmniScan SXは、読み取りやすい8.4インチ(21.3cm)のタッチスクリーンを搭載し、コスト効果に優れたソリューションを提供しています。 OmniScan SXには、SX PAおよびSX UTの2種類のモデルを用意しています。 SX PAは、16:64PRの装置で、UT専用のSX UTと同様に、従来型UTチャンネルを備え、P/E、P-CまたはTOFD検査に対応しています。
RollerFORMは、特に複合材の高品質で、水浸型の超音波測定(CFRP)を行うために開発されたフェーズドアレイホイールプローブです。 また、RollerFORMは、完全な2Dエンコードシステムに代わる手頃な価格の製品であり、水浸型手法の代替です。
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