プロセスが検査効率を高め、収率を上げ、プロセス管理を改善する
テルル化亜鉛カドミウム(CdZnTe)、すなわちCZTは、カドミウム、亜鉛、およびテルルからなる化合物半導体です。様々なアプリケーションに使われており、例として放射線検出器、MgCdTe(IR検出器)の基材、回折格子、電気光学変調器、太陽電池、およびテラヘルツの発生と検出が挙げられます。バンドギャップ(エネルギー差)は、組成によって約1.4~2.2eVの間で変化します。
これらのデバイスの製造業者に必要なのが、CZTのダイシングと研磨の後にIR技術を使ってサンプルを透過撮影する能力です。IR技術は1100~1200 nmの光波長を利用し、イメージングセンサーで反射光波長を取り込んで画像を生成する顕微鏡イメージング技術です。
画像撮影後に行われる一般的な作業の1つが、サンプルの全領域にわたって行う、粒子として示される第二相がCZT内で最も少ない位置の判定です。第二相が最も少ない場所に回路や導電点を配置すれば、検出器、太陽電池、回折格子の性能が高まります。第二相のパーセンテージが低いほど、CZTを通過する信号の回折が少なくなります。自動画像解析が終了したら、システムは粒子のパーセンテージが最も低い位置に移動して、切り抜く領域の周囲にレーザーマークを付けなければなりません。
現在、この種の作業のほとんどが手作業で行われていますが、検査面積が広いため、時間がかかります。この種の検査プロセスを自動化すれば、製造業者の検査効率を高め、収率を上げ、プロセス管理を改善し、その結果時間と費用の両方を節約できるはずです。
先進的画像解析ソフトウェアでプロセスを自動化する
先進的画像解析ソフトウェアは、化合物やウェハーの検査顕微鏡および高感度デジタルカメラと併用することで、自動的にCZT全体を走査して第二相を検出し、予め設定されている範囲内でパーセンテージが最も低くなる場所を決定することができます。さらに、この領域に戻ってより高感度の走査を行い、装着されているレーザーマーキングシステムを使ってその場所にマーキングすることも可能です。
最適なシステム構成には以下が含まれます。
- OLYMPUS Stream画像解析ソフトウェア
- オリンパスBX53/61正立顕微鏡またはオリンパスMX51/61ウェハー検査用顕微鏡(落射型および透過型赤外線照明搭載)
- 赤外線帯域幅内イメージング用のオリンパス高感度XM10IRデジタルカメラ
- ソフトウェアコントロール用にPCに直接接続されたX、Y、Z電動コンポーネント
- サンプル表面にマーキングして切り抜き範囲を規定するための、落射型照明装置に装着されたレーザーマーキングシステム
構成の最大の利点は、精度を向上させながら、時間とコストも削減できることです。これは走査を自動化したことによる結果で、手動の構成とは対照的です。スキャンの自動化はX、Y、Zの自動つなぎ合わせによって可能になり、これを使うことによりユーザーは、多数の異なる走査からシームレスにつなぎ合わせて作られた1つの画像で表面領域全体を観察できるようになります。材料欠陥になり得る画像スポットを、容易に検出できるようになります。さらに、収率の向上と、領域をピンポイントで位置決めできる能力により、プロセスを改善できるという利点もあります。