大型のレシプロ内燃機関の検査とメンテナンスを手掛けている方なら、前回のブログ記事をご覧になったかもしれません。前回は、硬性鏡からビデオスコープへの進化と、レシプロ内燃機関検査への活用について掘り下げました。レシプロ内燃機関検査シリーズの第2弾となる今回は、実際の課題に焦点を当てます。大型の内燃機関検査に適したビデオスコープを選定する際に知っておくべきことなどです。最適な検査を効率的に行うための役立つヒントもいくつかご紹介します。
ビデオスコープの選定で注目すべき点
大型の内燃機関検査向けのビデオスコープを選定する際は、以下の仕様と特長に注目して、ニーズに合う機器であることを確認しましょう。
- 長さ2m以上の挿入部
- 6mmの挿入部外径
- LED光源
- 堅牢な構造
- 広い視野角と最適な焦点を得るための2種類の光学アダプター:
- シリンダー検査用の側視遠点(AT120S/FF)光学アダプターx 1
- 細部の検査用の直視近点(AT120D/NF)光学アダプターx 1
画像の安定性とスコープの動作性を考慮することも重要です。挿入部を確実に安定させる方法のひとつとして、リジッドスリーブの使用が挙げられます。挿入部にリジッドスリーブを取り付けると、安定したクリアな画像が得られます。また、挿入部がシリンダー内面に当たって損傷するリスクも低減します。
内視鏡の湾曲部に関するお役立ちヒント
スコープの動作性に関して、湾曲部の方式は、挿入時のスコープの制御能力に大きく影響します。湾曲部はスコープ先端の湾曲可能な方向によって、1方向、2方向、4方向、ジョイスティック型の4種類に分類されます。ジョイスティック制御のスコープは、手動式と電動式があります。電動式のジョイスティックは正確で滑らかに反応よく動き、速度を楽に調整できます。
IPLEX GX/GTの湾曲部タッチスクリーン制御
レシプロ内燃機関検査用のビデオスコープを選択する際、多目的に対応でき、取り扱い容易な機種であることが重要です。IPLEX™ GX/GTビデオスコープは、電動式ジョイスティックまたはタッチスクリーンで制御可能な、反応性の高いTrueFeel™ 湾曲機構を備えています。堅牢で交換も楽にでき、挿入長は2mから10mまで、外径は4mmと6mmが選べます。さまざまな長さや外径のスコープに変更できるので、1台のモジュール式ビデオスコープシステムで数多くのタスクを実行でき、多様なモデルおよびサイズの内燃機関に対応可能です。
お客様に最適な内視鏡の選択に関するご相談には、当社製品担当者のオンサイトデモンストレーションをご予約ください。ご利用可能な、多彩なオプションについてご説明するとともに、セットアップをお手伝いします。お問い合わせはこちら。
ビデオスコープオペレーターのためのシリンダー検査チェックリスト
ビデオスコープを使って内燃機関を検査するのは、思ったより簡単です。主なステップは、(1) スコープをシリンダーに挿入する、(2) コンポーネントを検査する、(3) スコープを抜き取る、だけです。当社の工業用内視鏡検査(RVI)チームが推奨するベストプラクティスを以下にご紹介します。
- 検査を始める前に、内燃機関がオフになっており、完全に冷却されていることを確認します。 これでスコープの損傷やけがの発生を回避できます。また、検査に適した光学アダプターが用意されており、すべてがきれいな状態で鮮明な画像取得が可能な準備が整っていることを確認します。準備ができたら、検査するのシリンダーのスパークプラグまたは点検口プラグをすべて取り外します。
- 次は楽しいスコープの挿入作業です。
最初にリジッドスリーブを使用して、スコープをシリンダーに挿入します。リジッドスリーブがあると、スコープのオイル汚れや損傷の可能性を低減できます。挿入後、ピストンがシリンダーの一番下の位置にあることが重要です。この状態になっていれば、シリンダー壁面を最大限に広く観察できます。この状態にするため、ビデオスコープで観察して、ピストンが正しい位置になるまで手動で内燃機関のクランクを回します。この作業はIPLEX Image Shareアプリを使えば簡単です。
側視光学アダプターを使ってシリンダーの状態を観察 - いよいよ検査を実施して記録する段階です。 側視光学アダプターの使用が、シリンダー検査に有効です。図のように、シリンダー壁面、ピストン、バルブデッキ、バルブの概要が得られるからです。亀裂、腐食、傷が見つかったら、直視光学アダプターに切り替えて詳細な画像を取得できます。
- スコープを引き抜いて作業を繰り返します。 シリンダーの検査が終了したら、湾曲部のロックを解除してスコープをゆっくりと抜き取ります。すべてのシリンダーの検査が完了するまで同じ手順を繰り返します。
ビデオスコープのメンテナンスとお手入れ
ビデオスコープを最高の状態に保つには、使い終わるたびに光学アダプターをクリーニングして、汚れや油分、水分を取り除きます。光学アダプターと挿入部のクリーニング方法については、無料のInspection 360ウェビナー投資を守る:IPLEX™ ビデオスコープのメンテナンスとお手入れ をご覧ください。
予防保守を促進するための画像記録とレポート作成
検査の最後にレポートが作成され、内燃機関の状態について詳細な分析と評価が可能になります。このレポートは以後の検査にとって重要な参照情報となるとともに、機器の性能と寿命の信頼できる記録になります。このように内視鏡検査は、大型の内燃機関を適切な作動状態に保ち、高額で時間のかかる不必要なメンテナンスや修理を回避するために役立ちます。
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レシプロ内燃機関のメンテナンスと内視鏡との相互関係についての考察