OmniScan™ X3およびOmniPC™ソフトウェアを常に最新の状態に保つことには多くのメリットがあります。当社は、設定から解析まで検査ワークフローを強化するソフトウェア機能の改善と新機能の提供に絶えず取り組んでいます。
OmniScan X3をお持ちの方は、最新バージョンのMXU 5.16へのアップデートをお願いいたします。新バージョンがリリースされた際は、当社からユーザーに直接ご連絡を差し上げるほか、ソーシャルメディアでもお知らせします。当社からのお知らせをご覧いただくには、Evident Industrialをフォローしてください。
MXU最新バージョンの新機能
アップデートの都度、当社のOminiScanチームが重要な改良点をまとめた動画「MXUの新機能」を製作します。現在、リリース5.16の動画を製作中です。
「OmniScan™ X3オンボードソフトウェアMXU 5.14および5.15の新機能」をこちらでご覧いただけます。
このブログ記事では、OmniScan X3オンボードソフトウェアのバージョン5.15および5.16について詳しく紹介します。溶接部・腐食検査用途での利点に着目して、ワークフロー改善の概要をまとめました。ぜひご覧ください。
腐食モニタリングに最適なHydroFORM™スキャナーとの組み合わせ
MXU 5.15および5.16で、OmniScan X3探傷器がHydroFORMスキャナーと組み合わせて腐食検査にさらに使いやすくなった6つのポイントを紹介します。
1. 部品のセットアップと検査領域の配置が容易に
スキャンプランウィザードの Part & Weld(部品&溶接部)タブで、溶接部のない単純な形状の部品のパラメーターを簡単に設定できます。検査領域の長さと幅を指定すると、部品の寸法が3Dで見やすく視覚表示されます。
画面上でのスキャン開始点から基準点までの距離を入力すると、対象物全体に対して検査領域を配置しやすくなります。検査領域の配置をさらに容易にするために、最新バージョンでは、スキャン軸の名前を実際の呼称にカスタム設定できるようになりました。
2. HydroFORMプローブの自動検出
HydroFORMスキャナーを接続してDetect probe(プローブ検出)を押すと、OmniScan X3ソフトウェアはプローブのモデル(次世代HydroFORMスキャナー用I8シリーズ)を自動入力して、使用可能なウエッジの一覧(初期設定はHydroFORM SI8)を表示します。Probes & Wedges(プローブ&ウエッジ)タブでのスキャンプランの作成が非常に簡単になります。 必要なプローブとウエッジの仕様がすべて表示されます。
スキャナーに搭載されるプローブの型式を確認したり、仕様情報を手入力したりする必要がなく、設定時間の短縮につながります。また、不注意によるパラメーターの誤入力を回避でき、正確な設定を損う心配もありません。
3. フォーカルロウ設定の改善(0度オーバーラップモード)
HydroFORM I8シリーズなどのフェイズドアレイプローブは、フォーカルロウを0° with Overlap(0度、オーバーラップあり)に設定すると非常に便利です。Groups(グループ)タブでこのモードを選択すると、対象物の輪郭に1番目の素子が固定されて、正しい物理的特性が表示されます。
次世代HydroFORMに合わせてグループを設定する場合は、エレベーションが小さくなることから、開口幅(Quantity(同時制御数)を4~6素子に設定してください。
4. スキャンタブから直接、スキャンプランのパラメーターにアクセス
スキャンプランウィサードから直接、スキャンパラメーターにアクセスできるようになり、より簡便かつ迅速に設定を行えます。新しいスキャンタブでスキャナーを選択して(エンコーダーの編集)、両方のスキャン軸方向のスキャン距離を指定すると、それに応じて3D表示が更新されます。
5. インデックス軸の向きを切り替え可能
検査対象物の実際のスキャンパターンを反映して、スキャンプランでインデックス軸の向きを変えることができます。C-Scan Axes(Cスキャン軸)ボタンでCスキャンのインデックス軸の向きを切り替えると、CスキャンとSスキャン(0度リニアスキャン)のインデックス軸が一致します。このようにインデックス軸の向きを変えることで、より直感的にデータを解釈できます。
形状や位置の制約で初期設定とは異なる向きに部品を移動させてスキャンする必要がある場合に便利な機能です。
6. ScanDeck™スキャン速度警告モジュール
HydroFORMスキャナーとOmniScan X3ソフトウェアが相互に通信し、スキャン速度が最大データ収集速度を超えると、ScanDeck™モジュールのLEDインジケーターが点灯して警告します。最適なスキャン速度が保たれることでデータの損失がなく、再スキャンの必要性が回避され、データ全体の品質が向上します。
フェイズドアレイ超音波探傷法(PAUT)による溶接部検査のスキャンプランを迅速かつ容易に作成
OmniScan X3のスキャンプランでフェイズドアレイ検査に最適な設定をより簡単に行える4つの大きな改良点
1. スキャンプランモデリングツールで近距離音場を視覚化
Near-Field Display(近距離音場表示)をオンに切り替えると、デュアルおよびリニアフェイズドアレイプローブのグループ設定(セクター、リニアまたはコンパウンド)ができます。プローブのフォーカス性能を視覚化し、さらに Groupsタブでプローブとウエッジの組み合わせやフォーカルロウ設定を変更すると、それに伴って表示内容が更新されます。
最適な組み合わせのプローブとウエッジの選択やプローブのパラメーターの設定(インデックス、素子数、開始・終了角度など)がはるかに容易になります。OmniScan X3のスキャンプランですべてのフォーカルロウを設定できることから、事前に他社製のソフトウェアを使用して設定ファイルを作成しインポートする必要がありません。
2. 基準ビームで開先面入射角を表示
スキャンプランツールのもう1つの便利な機能がRef. Beam Display(基準ビーム表示)です。溶接開先面へのビーム入射角が規格に準拠していることを確認するには、この機能をオンにします。ビームシミュレーションモデルで基準ビームは黄色にハイライト表示され、入射角の値も示されます。
この情報をもとに、屈折角と開先面入射角を正確に計算して必要な調整を行うことで、規格に準拠した最適な結果を最初から得ることができます。
3. 迅速かつ最適な時間補正ゲイン校正を可能にする新しいツール
MXU 5.16には、フェイズドアレイ超音波法による溶接部検査の時間補正ゲイン(TCG)校正をより簡便かつ効率的に行える2つの新機能があります。
- Index Start(インデックス開始)およびIndex End(インデックス終了)パラメーターを設定すると、Sスキャンビュー上を点線(インデックス限度)がリアルタイムで移動し、TCG校正を行う検査領域を切り出すことができます。これにより、関係のない角度でそれぞれTCG校正を行う必要がなくなり、デュアルおよびリニアフェイズドアレイプローブの補正プロセスの短縮化と簡略化が可能になります。
- 検査規格では溶接内部の校正のみを要求されます。Sスキャンで新しい溶接オーバーレイ機能を使い、検査領域を素早く特定して校正に最適な深度であるか確認することができます。
4. Evident製のすべてのフェイズドアレイプローブに対する高性能な自動検出機能(カスタムモデルを含む)
Evident製プローブを使用するあらゆる構成を素早く設定できる自動検出機能は、溶接用途および腐食検査においてメリットがあります。この機能は標準品でもカスタムプローブでも使用できます。
プローブを接続してDetect probe(プローブ検出)ボタンを押すと、プローブの仕様が表示され、手作業で入力する手間がかかりません。カスタムプローブの場合は、表示された最も近い仕様に合わせて必要な調整を行うため、やはり大幅に時間を節減できます。
また、ビームモデリングおよび投影の不具合につながるおそれがあるパラメーターの誤入力を防ぎ、検査の質の向上に役立ちます。
以上がMXU 5.15および5.16の主な改良点です。今後のアップデートについて、MXU 5.17では、スキャンプランのワークフローをさらに強化、簡略化して役立つ機能を提供する予定です。 どうぞご期待ください。
OmniScan製品群に関するお問い合わせは、こちらまでご連絡ください。
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