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基本的なUTから先進的なAIベースのカスタマイズへ:Ruckus CompositesにおけるNDE 4.0への思い切った転換

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ファイバー複合材の自転車フレームと超音波探傷器

学べば学ぶほど、成長する必要があります。

前回のRuckus Compositesに関する記事以降、このカーボンファイバーの検査・修理会社は目覚ましい勢いで専門技術を拡張しました。当社の従来の45MG超音波探傷(UT)機器から、先進的なフェーズドアレイ(PA)OmniScan™ X3探傷器まで、同社が使用する検査機器は流星のごとき進歩を遂げています。

このインタビューでは、Ruckus Compositesのオーナー兼エンジニアであるShawn Smallさんが、この急速な進化の裏側を教えてくれます。また、当社のNDEオープンファイルフォーマットへの移行によって、Ruckusが大きく飛躍する自由がどれだけ得られたかについても語ってくれます。Shawnさんは最小限のプログラミングノウハウで人工知能(AI)を活用して、カスタムソリューションを導入し、材料科学研究の新境地を切り開いています。その旅について以下をご覧ください。

Q:Ruckus Compositesが超音波探傷(UT)を試した最初のきっかけは何ですか?

Shawn Small:今から8~9年くらい前に、複合材の各種検査法を調べ始めて、何が可能かを確認して最終的に超音波にたどり着きました。この時点では、フラッシュサーモグラフィとレーザーシア干渉計、それにあらゆる種類のハイブリッドソリューションを検討しましたが、もう少し決定的なものを求めていました。そして、出会った中では超音波だけが一貫性のある唯一の方法のようだと分かりました。

45MG厚さ計を使用してカーボンファイバー製自転車フレームの超音波検査を行うエンジニアのShawn Smallさん

でもその当時は今より会社の規模がだいぶ小さく、予算もはるかに少なかったのです。そのとき手に届く機種が45MG UT厚さ計だけだったのですが、入門機として素晴らしいものでした。今も手元にあり、それより少し大型の38DLP™厚さ計も持っています。正直に言って、今でもそのままで素晴らしい働きをします。操作が簡単で全自動、そしてシンプルです。経験の浅い人には機器を設定してから渡せば、必要なデータをすぐに取得できます。

箱から出したままでは厚さ計にすぎませんが、アドオンをいくつか加えればかなり便利な機器になります。ですから未だに現役で、欠陥の検出に活躍しています。包括的な機種ではないものの、何かが「機能している・していない」を判断して「はい、これは損傷しています」と言うことができます。

Q:RuckusがOmniScan™ SXフェーズドアレイユニットを選んだのはなぜですか?

Shawn:私たちはもっと重い負荷を求めていて、フェーズドアレイに移行したいと思っていました。その機種に移行するメリットがたくさんあることは分かっていました。検査結果への確信が増し、楽になる方法の1つなのです。このように高い分解能でたくさんの素子から照射することで、複合材の構造で生じていることをずっと多く理解できます。

OmniScan SXを使用して自転車の複合材フレームを検査するRuckus CompositesのShawn Smallさん

PAデータの解釈とUT波形データの比較
波形データは便利で、波形の読み取り方を知っていれば、かなり優れたデータが得られます。しかし、スパイクの幅、高さ、深さが何を表すかや、所定の構造を表すかを理解するには、たくさんの作業と経験が必要です。それに対してフェーズドアレイシステムでは、より科学的で研究に基づく表示が示されるため、損傷モードを明らかに理解できます。分解能が高く、観察している対象箇所のより包括的な表示が見られます。また、一振動子型探触子に対して、フェーズドアレイ機器はスキャン速度がはるかに速くなります。

OmniScan SX探傷器と複合材チューブ試料上のフェーズドアレイプローブ

Q:当社の最上位性能PA装置であるOmniScan™ X3探傷器に直接アップグレードしなかったのはなぜですか?

ShawnOmniScan SXを購入する前に、OmniScan X3探傷器のデモンストレーションを行いました。あのときに戻れるなら、正直なところX3を購入するでしょう。でも少し圧倒されてしまって、予算オーバーでもありました。無数にある機能のプールの深みに投げ込まれたようなものです。ですから、SXはちょうどよい足がかりでした。実際、今でも私たちが必要とすることの95パーセントを実行しています。優れたフェーズドアレイデータを収集して画面に表示し、必要なことをすべてやってくれます。比較すると古く感じるだけです。正直に言って、私はまだSXが好きです。小さく軽いポータブル機器なので、メリットがたくさんあります。ずっと手元に置いていて、スタッフに使わせています。

Q:フェーズドアレイ装置を使うことで作業にどのような変化がありましたか?

Shawn:自動スキャンの世界に足を踏み入れることもできるようになりました。このところポータブル自動機器をいくつも構築していて、それを初めはSX、それからX3のフェーズドアレイ装置につなぎ、大規模なC-スキャンデータをすべて収集してみたのですが、素晴らしいです。自動スキャンのとても大きなチャンスがもたらされたように思います。自分の時間を節約できますから。今では機器のボタンを押すだけで、2時間続けてスキャンさせた後、戻ってきてC-スキャンデータが手に入ります。現時点で、何千マイルのカーボンファイバーチューブをスキャンしたか分かりません。

フェーズドアレイ検査を行うRuckus CompositesのShawn Smallさん

Q:複合材検査にどのようなフェーズドアレイ構成を使用していますか?

Shawn:高周波数の小さいプローブを数多く使用しています。私たちがスキャンするものは小さいので、どうしたってそうなります。御社で扱っている中でも最小のプローブを使っていて、5 mm x 5 mmのセンサーネットワークがその小さな16素子プローブに収まっています。

スキャン対象の多くは1フィート四方や0.5 m四方しかなく、複雑な表面と狭いへりを持っています。そこでそれをCNCマシンに載せるわけです。また、とても変わった形状の部分に合わせて、削って加工した独自の遅延材ウエッジをすべて作っています。

私たちはあらゆる対象物に10 MHzのプローブを使用しています。ピッチが狭いほどうまく機能するようです。複合材のポロシティやボイドを観察するのに必要な、高分解能データが得られます。

Q:転機は何でしたか?Ruckus CompositesがOmniScan X3にアップグレードしようと決めたのはなぜですか?

ShawnNDEファイルフォーマットが一番の理由でした。OmniPC™ソフトウェアは素晴らしく、必要な作業をこなせます。千人の人が千の異なるものを汎用的な方法で見ることができます。ファイル形式を.ndeに変えることによって、それまで不可能だったやり方で研究や分析ができるようになりました。やりたい分析があっても、私たちのような会社にとって、ファイル形式は障壁でした。Excelにエクスポートしても、そこで行き詰まります。Excelは優れているものの、配列データファイル構造内にたくさんの層があると不可能に陥ります。それが障害になっていました。自動化の観点からより深く分析する機会を持つことができていなかったのです。

NDEファイル形式になった今では、独自のソフトウェア構造をすべて作成して大量の自動分析を行っています。何マイルものチューブを自動スキャンする場合、私が観察することはありません。コンピューターに観察を任せています。対象領域が強調表示されて事前イベントと事後イベントが行われます。これはつまり、何か不可解なことが発生すれば、「これは損傷じゃないか?」と示されます。この2つのファイルを読み込んで比較ボタンを押せば、対象領域が強調表示されます。完璧に機能しているとまでは言いませんが、少なくともソフトウェア面ではうまくいくようにしたつもりです。

Q:.ndeファイルフォーマットのプログラミング言語(HDP5とJSON)を使用したデータ分析のカスタマイズへの移行はスムーズでしたか?

Shawn:一部の人々は、このように大規模なフォーマットをいつでも使っています。オープンソースのLinuxベースの世界がその例で、そのフォーマットを見て「よし、これは問題なし」と言います。そのデータの意味は知らなくても、データを開いて操作できる限りは、20分で何かを作動させることができます。一方で私はChatGPTを使って独自のソフトウェアを作っていますが、分析ソフトウェアの試案は約30秒で出力されます。

「このデータセットのこの部分の分析を手伝って」と頼むと、申し分ない汎用的な情報が得られます。結局のところ、これはエネルギーに関する数値データのデータ分析にすぎず、エネルギーの位置と部位性があれば十分です。完璧ではありませんが、少なくとも取っ掛かりにするには十分うまくいきます。私はソフトウェアを作れませんが、AIに作ってもらうことはできます。

「私はソフトウェアを作れませんが、AIに作ってもらうことはできます。」

—Shawn Smallさん(Ruckus Compositesオーナー兼エンジニア)

Q:この新たに手にした柔軟性は、今後のRuckus Compositesの目標にどのように活用されると予測していますか?

Shawn:私たちはこれを糧に、修理の機会を広げていこうとしています。修理は複合材産業で最大の成長市場の1つだからです。インフラの修理は大きな問題で、特に自動車産業も複合材に力を入れるようになっています。誰もが皆、まだ表面を引っかいているにすぎません。

自動車の世界では、専門家と機械に今後大きなニーズが生まれることでしょう。現場での診断やあらゆる自動車修理工場へのニーズもあるかもしれません。当社の場合、複合材構造物のNDTという専門分野にさらに軸を置くようになっているので、未来がどうなるか水晶の玉を覗いて尋ねるようなものです。

当社の未来はどうなるでしょうか?複合材産業はまだティーンズみたいな感じなので、完全にはわかりません。どこへ向かうか、まだ理解しようとしている最中です。材料科学の変化はとても速いので、私たちは材料科学の能力を広げ続けていきます。私はその世界と、損傷が存在する理由を解明していくことをとても楽しんでいます。

Q:その学びたいという思いが、急速な技術の進歩の裏側にある原動力ですか?

Shawn:新たな壁を引っかいてたたき続ければ、「別の機械でどうなるか見てみる必要があるな」と思うでしょう。学びを深めて成長し続けるのが好きな私のような人なら、自然な成り行きなのです。

数年前に45 MGで歩みを止めて自身を窮地に追い詰め、「これが我々のやることだ」と言うこともできました。でも、世界や材料科学に興味を抱いている人にとって、それはとても重要です。OmniScan X3は私たちに未知のことを見せてくれるのです。

OmniScan X3フェーズドアレイ超音波探傷器のボタンを押すRuckus CompositesのShawn Smallさん

Q:研究を通して複合材の未知の面を探ることがそれほど重要なのはなぜですか?

Shawn:私たちが研究するのが好きなのは、複合材がこの新しい材料科学の未開拓領域にあるからです。未だにです!もう70年ほどになるのに、それほど多くは分かっていません。破壊モードとは何なのか、製造上の欠陥の観点から実際に何が起こっているのか分かっていません。

グリーンエネルギー目標かインフラ目標か、あるいは航空宇宙産業か自動車産業かに関係なく、複合材は変革を起こす力を持っています。でも、まだ学ぶべきことはたくさんあるので、このファイルフォーマットを使ってより深い材料理解への鍵をいくらか開けていけるでしょう。超音波分析に重点を置いた研究をさらに行えば、材料科学コミュニティにとって大きな飛躍になります。このことが、複合材の破壊モードなどのより深い理解への鍵を解き放ち、より安全な未来を築くと思います。

Ruckus Compositesの研究の詳細をご覧ください。
 

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Executive Director, Global NDT Applications Engineering

Emilie Peloquin has been working in the welding/NDT industry since 2009. She holds an associate degree in applied science and is educated in a wide variety of NDT methods. She joined Evident in 2014 and has held positions ranging from technical support to product management, focusing on ultrasonic, phased array, and other advanced inspection technologies. In her current role, she supports a variety of applications across numerous industries. Emilie is also heavily involved in codes and standards development for ultrasonic techniques and was elected in 2022 to the board of directors for the American Society for Nondestructive Testing (ASNT).

12月 21, 2023
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