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品質管理においてダイヤモンドの欠陥を検出・測定する方法

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ダイヤモンド

ダイヤモンドは自然が生み出したなかで、最も貴重で美しいもののひとつです。しかし、ダイヤモンドのあらゆる魅力は、ほんの少しの欠陥でその輝きを失ってしまう可能性があります。ダイヤモンドの品質を維持するには、その特性と一般的な欠陥について理解するとともに、それらの測定に用いる高度な技術についても習得することが重要です。

本稿ではダイヤモンドに光を当て、その組成と一般的な欠陥を明らかにし、2種類の検査ツール、デジタルマイクロスコープと共焦点レーザー顕微鏡を使用して欠陥細部を詳しく見ていきます。
 

ダイヤモンドは何でできているか

ダイヤモンドは固形の炭素であり、原子がダイヤモンド構造と呼ばれる結晶構造に配列しています(原子が四面体の三次元ネットワーク状に配列しています)。ダイヤモンドは地球のマントル内の深く(一般に地下約150~200 km)で、高圧・高温条件の下に形成されます。

形成条件と独特な原子構造から、ダイヤモンドはあらゆる天然物質の中で最も硬く、高い熱伝導率を持ちます。このような特性を活かし、切削や研磨の工具といった産業用途に多く用いられています。掘り出されたダイヤモンドの原石は、カッティングと呼ばれる多段階工程を経て宝石となります。

ダイヤモンドは硬いがもろい性質があり、一撃で割れる場合があります。したがって、ダイヤモンドのカッティングは昔から、スキル、知識、工具、経験を要する繊細な作業と見なされています。ダイヤモンドの光学特性を最大限に引き出し、カッティング時の重量損失を最小限にするため、カッティングには精度と経験が必要です。最終目標は、ファセット(切子面)どうしが特定の角度を保ち、ダイヤモンドの輝き(白色光の分散)が最適になるカットの宝石を作り出すことです。

ダイヤモンドのカットには、ラウンドブリリアント、ペア(ティアドロップ)、マーキス、オーバル、ハート&アローなどさまざまな種類があります。ダイヤモンドの価値は、4Cとして知られるカット、カラー、クラリティ、カラットの要素を組み合わせて判断されます。ダイヤモンドの品質は米国のさまざまな鑑定機関が鑑定しています。
 

ダイヤモンドの欠陥の種類

ダイヤモンドの欠陥は、外部欠陥と内部欠陥に分けられます。ダイヤモンド欠陥の評価とグレードは、認定された宝石鑑定士が標準化されたグレード基準に従って行います。欠陥の重大度、サイズ、位置、種類によっては、ダイヤモンドのクラリティグレードに影響する可能性があります。ダイヤモンドの欠陥をいくつかご紹介します。

外部ダイヤモンド欠陥

  • ブレミッシュ:この欠陥はダイヤモンドの表面にあり、自然に生じる可能性があります。
  • スクラッチ:ダイヤモンドの表面にある細い線。自然に生じた場合とカッティング時に生じた場合があります。
  • エキストラファセット:通常、これはブレミッシュやインクルージョンを取り除くためのカッティングです。ダイヤモンドの輝きを高めるためにファセットがカッティングされる場合もあります。
  • フラクチャー:へき開面と平行ではないダイヤモンド内部の割れ目をフラクチャーといいます。フラクチャーは形が不規則であることが多く、粉砕されているように見えます。
  • フィンガープリント:指紋の形をしたフィンガープリントインクルージョンがダイヤモンド内に見つかることが時折あります。ただし、ルビーなど他の宝石に比べると、ダイヤモンドにこのインクルージョンが見られるのはまれです。
  • ピット:ダイヤモンド表面に小さな穴が見られることがあります。通常、この穴(ピット)は肉眼では見えません。
  • ニック:ダイヤモンドは場所によって欠けることもあり、ニックとして現れます。ニックの修復にはエキストラファセットの付加がよく用いられます。

内部ダイヤモンド欠陥

  • 結晶/鉱物インクルージョン: ダイヤモンド内に微小な結晶や鉱物、他のダイヤモンドが見られることがあります。
  • ピンポイントインクルージョン:名前が示すとおり、このインクルージョンはダイヤモンド内に見られる極めて小さな結晶で、通常は白色です。
  • ニードル:ダイヤモンド内のダイヤモンド結晶が細長い針(ニードル)状に現れることがあります。通常、ニードルは肉眼では見えません。
  • クラウド:3つ以上のピンポイントインクルージョンが集まると、ダイヤモンド内にもやのかかった部分(クラウド)が生まれます。
  • ノット:ダイヤモンド結晶がダイヤモンドの表面まで伸長すると、ノットと呼ばれます。ノットは適切な照明条件下でダイヤモンドルーペを使って見ることができます。
  • グレイニング:ダイヤモンド内の結晶インクルージョンが線状に生じたものをグレイニングといいます。グレイニングは、ダイヤモンド原石に自然に生じたグレインラインと混同しがちですが、明確に分ける必要があります。
     

顕微鏡を使ってダイヤモンド欠陥を検出する5つの方法

ダイヤモンド欠陥を識別して品質管理を向上させるには、デジタルマイクロスコープや共焦点レーザー顕微鏡などの技術的に高度なソリューションに頼ることができます。

デジタルマイクロスコープ

DSX1000デジタルマイクロスコープ

例えば、DSX1000デジタルマイクロスコープでは、明視野、 偏斜、暗視野、微分干渉(DIC)などさまざまな観察モードでシームレスに画像を取得して、ダイヤモンド表面のスクラッチを観察できます。また、デジタルマイクロスコープで偏光を使用して、その他の内部・外部欠陥(インクルージョン、フラクチャー、ピットなど)を探すこともできます。

ダイヤモンドの欠陥検出における各種観察法について、簡単にご説明します。

1. 明視野観察

落射明視野観察は、簡単で試料に効果的に光を当てられることから、ダイヤモンド欠陥の観察によく用いられます。ダイヤモンドは暗い背景に対して明るく見えるので、ダイヤモンド内のキズやインクルージョンがコントラストで見やすくなります。このコントラストによって、フラクチャー、インクルージョン、その他の構造的欠陥などを容易に検出できます。

ダイヤモンド欠陥の明視野観察

DSX10-SXLOB3X対物レンズを使用したダイヤモンド欠陥の明視野観察。

明視野観察は、他のイメージング法や照明法と組み合わせると、より包括的にダイヤモンドの特徴を把握できます。例えば、明視野観察を偏光、暗視野、DIC、または偏斜観察と組み合わせて、ダイヤモンドの構造を多面的に調べたり、さまざまなキズやインクルージョンを識別したりできます。以下の画像は、明視野と暗視野の両方を使って観察したダイヤモンドのスナップショットを示しています。

顕微鏡で見たダイヤモンド

明視野観察と暗視野観察を組み合わせたダイヤモンドのMIX観察。DSX1000デジタルマイクロスコープで撮影。

2. 暗視野観察

落射暗視野観察は、表面の欠陥とインクルージョンに対するコントラストと感度が高まることから、ダイヤモンド欠陥の観察に有効な手法です。照明が斜めから当たるため、明るい背景に対してダイヤモンドが暗く見えます。この高コントラスト照明法によって表面の形状と欠陥が強調され、わずかな欠陥でも見やすくなります。

したがって、暗視野観察が特に効果的なのは、ダイヤモンド表面のスクラッチ、アブレージョン、ポリッシュマーク、その他の外部ブレミッシュの検出です。上の画像に示すとおり、暗視野観察はダイヤモンド表面および内部構造を異なる見え方で示すことで、明視野観察を補完します。

3. DIC観察

DIC観察は、ダイヤモンドなど透明/半透明の試料のコントラストを高めることができます。ダイヤモンドのDIC観察では、内部の微細な構造的特徴や欠陥を高いコントラストとクラリティで明らかにすることができます。以下にいくつか例を示します。

ダイヤモンド欠陥のDIC観察

ダイヤモンド欠陥のDIC観察。DSX1000デジタルマイクロスコープとDSX10-SXLOB3X対物レンズを使用して撮影。

ダイヤモンド欠陥のDIC観察

ダイヤモンド欠陥のDIC観察。DSX1000デジタルマイクロスコープとMPLFLN5XBDP対物レンズを使用して撮影。

ダイヤモンド欠陥のDIC観察

ダイヤモンド欠陥のDIC観察。DSX1000デジタルマイクロスコープとMPLAPON50X対物レンズを使用して撮影。

4. 偏斜観察

偏斜観察では、ダイヤモンドを斜めに傾けて、照明を上から直接ではなく側面から当てます。この観察法ではダイヤモンドの反射特性を利用して、通常の照明条件では見にくい欠陥を明らかにします。

影を投げかけてハイライトを作り出すことで、表面欠陥(スクラッチ、アブレージョン、ポリッシュマークなど)と表面に近い内部欠陥を強調できます。偏斜観察が特に効果的なのは、ダイヤモンドの全体の状態や仕上げの評価で、摩耗歴や潜在的な耐久性の問題への知見が得られます。

ダイヤモンド欠陥の偏斜観察

ダイヤモンド欠陥の偏斜観察。DSX1000デジタルマイクロスコープとDSX10-SXLOB3X対物レンズを使用して撮影。

5. 偏光観察

偏光観察はダイヤモンドの結晶構造への作用があることから、ダイヤモンド欠陥を効果的に検出できます。偏光がダイヤモンドを通り抜ける際、その複屈折性によって光波が2つの成分に分かれ、それぞれ異なる方向に振動して異なる速度で進みます。この微分挙動によってダイヤモンド内に対照的なパターンやカラーが生じ、内部欠陥(フラクチャー、インクルージョン、結晶成長異常など)を強調することができます。
 

ダイヤモンドの表面粗さ観察と測定

表面粗さ測定用共焦点レーザー走査型顕微鏡

DSX1000デジタルマイクロスコープでは1750倍の観察が可能なので、ダイヤモンド表面のスクラッチなどの欠陥を十分に観察することができます。こうした表面域の粗さ情報をナノメートルスケールで得るには、共焦点レーザー走査型顕微鏡に切り替えます。

例えば、LEXT™ OLS5100 3D共焦点レーザー顕微鏡では、405nmレーザー光源を使って共焦点法による試料走査を行うので、ダイヤモンド表面の精密な高さ情報が得られます。一例として、以下の共焦点画像と表面粗さデータをご覧ください。

ダイヤモンドの表面粗さ観察

ダイヤモンドの表面粗さ観察(倍率2500X)。LEXT OLS5100 3D共焦点レーザー顕微鏡で撮影。
 

以下のレポートから、粗さ値(Ra)は20nmであることがわかります。観察された最大ピーク(Rp)は58nm、最大谷深さ(Rv)は49nmです。

ダイヤモンドの表面粗さ測定

ダイヤモンドの表面粗さ測定データ

結論として、適切な顕微鏡システムと観察法を選べば、ダイヤモンド製造の品質管理における欠陥識別と正確な測定に役立ちます。

この内容の一部は、Gyanesh Singh氏(IR Technology Services Pvt. Ltd.アプリケーションスペシャリスト)によるブログ記事から抜粋されています。元の記事Surface Roughness Observation of a Diamondをご覧ください。
 

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製品スペシャリスト、デジタルイメージングおよび顕微鏡

Evidentのデジタルイメージングおよび顕微鏡の製品スペシャリストとして、17年超の経験を持つ。現在はEvidentのシンガポール事業所(マレーシアのクアラルンプールを拠点)に勤務し、アジアパシフィック地域の子会社や販売代理店に対して工業顕微鏡システムの技術、アプリケーション、トレーニングのサポートを担っている。産業用イメージングソフトウェアおよび顕微鏡システム(デジタル、共焦点レーザー、清浄度検査システムなど)に関して、深い知識と経験を持つ。同地域における製品の導入・販売の成功を支えている。

6月 20, 2024
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