その場で!素早く!
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日本国内においては、2014年の厚生労働省通知(基安労発0530第2号、基安化0530第2号)において、建設物の塗料の剥離作業を行う場合に、塗料における鉛やクロム等の有害化学物質の使用状況を適切に把握して作業者の健康障害防止を徹底するよう指示されています*1。 また、2017年5月には、国土交通省から各地方整備局、各市町村に宛てて上記通知を周知徹底するよう通達が出されています。すなわち、橋梁等建設物のメンテナンス作業を行う際には、事前に塗料の成分について鉛等の含有量を検査し、有害物が確認された場合は、関係法令に従った作業方法を採用することが義務付けられています。通常、鉛含有時の塗膜除去作業はコスト増となるため、事前に現場で簡単に分析することができれば、様々な対策を考慮した的確な工事予算の算出につながり、発注側と作業側の双方にメリットが生じます。 この事前の成分検査には、携帯型の成分分析計であり、現場で直接構造物に当てて測定できるハンドヘルド蛍光X線分析計Vantaが、迅速なスクリーニングツールとして有効です。片手で持てるバッテリー駆動型で、トリガーを引くだけの簡単操作で測定することができます。ほとんどの検査は数秒から10秒程度で済むため、検査業務の高い生産性を実現します。検査対象は橋梁等のインフラ構造物に限らず、木材、石膏、コンクリート、れんが、鉄鋼などさまざまな材料の表面に鉛含有塗料が存在するかどうかを判別することができます。また、事前成分検査だけでなく、メンテナンス作業現場の清掃後の環境チェックを行うこともできます。 |
下表はVantaにおける代表的な有害元素の検出限界を示します。
VCA GeoChemモデルにおいて120秒 スペクトル干渉が無い場合 元素分析における検出限界とは、その元素が測定対象中に存在するかどうかを判断できる限界値であり、一般的には対象元素が極微量存在する試料を複数回測ったときの標準偏差の3倍が用いられます。また、定量値に信頼性があるかどうかの定量限界は標準偏差の10倍が使われますので、上記のVantaによる鉛測定の場合はおよそ7ppmとなります。 鉛含有塗料であるかどうかの判断の目安として、例えば「JIS K5674 鉛・クロムフリー錆止めペイント」で規定されている質量分率を基準とすると、鉛は0.06%(600ppm)、クロムは0.03%(300ppm)となります。従って、Vantaの検出限界、定量限界は、これら基準に対しても十分に余裕を持って判断できる検出性能であると言えます。 |
下図は、有害金属を微量に含む鉄鋼標準物質をVantaで測定した結果画面です。400~500ppmレベルの鉛(Pb)およびクロム(Cr)の含有を検出できていることがわかります。 Vanta測定画面 JFE鉄鋼有害成分分析用 |
下図は、鉛含有塗料の構造物をVantaで測定した結果画面です。このときは測定開始後わずか数秒で画面のような結果が得られました。 Vanta測定画面 鉛塗装 |
携帯型として成分分析できることがVantaの最大の特長ですが、オプションのインターロック付き遮蔽チャンバーを備えたワークステーションと組み合わせて使用することにより、簡易卓上型の蛍光X線装置としても機能します。普段はワークステーションとセットで実験室に常置して使用し、屋外や現場で直接測定したい時に分析計本体部分を取り外して持ち運ぶといった使い方も可能です。 ハンドヘルド蛍光X線分析計Vantaは、現場で素早くリアルタイムに測定結果を得られるため、検査業務にかかる時間とコストを大幅に削減することができます。 |
*1 通知内で以下のように記載されています。 (塗料の剥離等作業を発注する者について) (塗料の剥離等作業を請け負う事業者について) |
測定の様子も動画でご覧いただけます! | |
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