本稿では、原子力発電所などにおける放射線環境下の内視鏡検査の課題と解決策について説明します。
原子力発電には各種形式がありますが基本原理は共通で、核分裂時に発生する熱エネルギーを用いて蒸気を発生させ、その蒸気の力で発電機を回して発電します。
原子力発電所は、安全に発電を行うために、下記の主要部位について内視鏡検査が行われています。
特に上図の1~5の部位は、内視鏡の固体撮像素子(CCDやCMOS)や照明装置が、放射線の影響を受けて性能が劣化し、最悪の場合は映像が出ない、照明光が出などの故障を生じます。 細いパイプや蒸気発生器などは内視鏡を使う必要があり、内視鏡としての耐放射線強度の改善が必要になっています。
オリンパスの工業用内視鏡IPLEX NXは、この耐放射線特性に着目した挿入部の設計を行っています。
固体撮像素子は最新の設計、製造プロセスを用いたものを採用し、従来製品よりも強い耐性を有することができるようになりました。
また、照明装置のライトガイドファイバーは素材から見直すことにより耐放射線強度を改善し、更に光源装置を大光量化することにより、放射線の影響によりライトガイドファイバーが劣化し始めても十分な光量確保できるようになりました。
これらの改善により、IPLEX NXの挿入部は当社従来機種(IPLEX FX)に比べ約1.7倍の耐放射線強度を確保することが可能になりました。 例えば従来の内視鏡ならば3~6ヶ月ごとに更新が必要だった場合は、5~10ヶ月お使い頂けます。 また、固体撮像素子や照明用のライトガイドファイバーが故障をしてもスコープユニット部の交換をするのみでLCDモニターを含む本体ユニットは引き続きお使い頂けます
上述の通り、工業用内視鏡IPLEX
NXは、挿入部の放射線への耐性を改善することにより、放射線環境下において従来製品よりも長い時間の検査に使用して頂くことができるようになりました。 これにより、放射線の影響による内視鏡の故障と機材交換の頻度を減らし、それに伴い故障した機材の廃棄費用も低減することができます。
また、IPLEX
NXは高画質、優れた挿入性、そして扱いやすい操作性による内視鏡の基本機能も備えおり、検査の品質とコストの両面で、原子力発電所の安全な運転の為の内視鏡検査業務を支援します。
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