チューブ検査用のMultiScan MS 5800は、以下の検査法が実施可能なマルチテクノロジーシステムです。
- 渦流探傷
- 漏洩磁束(MFL)探傷
- リモートフィールド(RFT)探傷
- チューブ内部超音波回転検査(IRIS)
MS 5800E
渦流探傷(EC)によるチューブ検査
- コンデンサー
- 給水加熱器
- 熱交換器
- 冷暖房装置
渦流探傷は、非強磁性チューブの非接触検査法です。この技法は、非鉄材料の腐食、浸食、摩耗、孔食、バッフルカット、減肉、ひび割れなどの金属のきず検出とサイジングに最適です。
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電流を2つのコイルに流すと、コイルの周囲に磁界が発生します。磁界はチューブ材料を貫通し、材料内にそれを打ち消す電流が発生します。この電流が渦電流(渦流)と呼ばれるものです。
- 渦流の流れを乱す欠陥があれば、プローブコイルのインピーダンスが変化します。
- このプローブコイルのインピーダンス変化を測定することにより、チューブ内の欠陥信号を検出します。
MultiScan MS 5800Eの主な特長
- 1入力につき4つの周波数を同時使用
アブソリュートとディファレンシャルのチャンネルで4つの周波数を用いることができ、最大2m/sまで検査速度を上げることができます。
- 電子プローブのバランシング
個別の外部バランスコイルはアブソリュートチャンネルには不要です。
- 4つのEC入力および最大64の多重チャンネル
MultiScan MS
5800Eは、アレイプローブ検査を行うために多数のECチャンネルを備えています。1チャンネルでの検査と比較し、アレイプローブ技術はより高速かつ簡単に検査領域をカバーすることができます。
MS 5800U
鉄材料及び非鉄材料のチューブ内部超音波回転検査(IRIS)
IRISの超音波オプションは、鉄、非鉄、非金属など、さまざまな材料のチューブ検査に使用されます。この技術は、腐食、浸食、磨耗、孔食、ひび割れ、バッフルカットなどを原因とする減肉の検出とサイジングに用いられます。オリンパスのIRIS検査技術は、リモートフィールド検査、漏洩磁束検査および渦流検査後のより詳細な検査のための手法として幅広く使用されています。
MultiScan MS 5800U(IRIS)の主な特長
- セットアップウィザードさまざまなチューブ径や材料に対する機器校正を簡単に行うことができます。また、検査用にレポートコードを作成します。
- ゲイン及びゲートのリアルタイムコントロール
信号検出をすばやく最適化するために、C-スキャンによるデータ取得中に、ゲインとゲートの設定を変更することができます。
- リアルタイムに連続して更新されるカラーC-スキャン
通常のC-スキャン表示では検出が難しいきずを、カラー表示で明確に示します。きずのカラーマップおよび断面表示によって、レポートの品質と分かりやすさを向上させます。
- チューブ全長記録機能
チューブ全長のデータを保存し、オフラインでの分析やデータ解析が可能です。
MS 5800R
リモートフィールド(RFT)によるチューブ検査
リモートフィールド検査(RFT)は、炭素鋼やフェライト系ステンレス鋼などの強磁性管の検査に使用されています。この技術は、腐食、浸食、摩耗、そしてバッフルカットによる減肉の検出とサイジングに適しています。
オリンパスのリモートフィールドプローブとMultiScan MS 5800Rは、熱交換器、給水加熱器、ボイラー管の検査に使用されています。
MultiScan MS 5800Rの主な特長(RFT)
- 最高4つの周波数とリアルタイムのミキシングによる探傷
この機能は、きず検証とミキシングの融通性を高めます。複数の周波数を用いた検査とデュアルドライバー操作により、サポートプレートでのきず検出とサイジングがさらに容易になりました。
- 20Hz~250kHzの周波数範囲のRFT
MultiScan MS 5800Rの高周波数により、SUS400シリーズのステンレス鋼や他の強磁性合金など、低透過率で薄い材料にもRFT検査を適用できます。
ニアフィールド(NFT)によるチューブ検査
ニアフィールド(NFT)技術は、特にフィン付き炭素鋼チューブ検査を目的とした、高速で費用対効果の高いソリューションです。この新技術は、渦流プローブのドライバー・ピックアップコイルの新設計により、シンプルな信号解析を実現しています。
NFTは、内部腐食、浸食、孔食の検出に適しています。NFTプローブは、リフトオフの検出により内部腐食の緩やかな肉厚変化を測定し、それを振幅ベースの信号に変換します。渦流の浸透はチューブの内側表面に限られるので、チューブ外側のフィンの形状がNFTプローブに影響することはありません。
MultiScan MS 5800R
漏洩磁束(MFL)によるチューブ検査
漏洩磁束(MFL)は、減肉測定および孔食、円周方向の亀裂など鋭い欠陥の検出に適した高速の検査手法です。MFLは、磁界が外面のフィンの影響をほとんど受けないため、アルミニウムフィン付き炭素鋼管の検査に効果的です。