渦流探傷器の種類
渦流探傷（ECT）は、さまざまな用途に役立つ非破壊検査（NDT）法です。用途には、探傷、材料やコーティングの厚さ測定、導電性検査などが含まれます。探傷の対象としては、部分的な強磁性材料（ニッケル合金など）や薄い強磁性材料（ステンレス鋼など）にある表面および表面下の欠陥、線状欠陥、亀裂、融合不良、一般的な腐食が挙げられます。使用可能なECT探傷器にはさまざまな種類があり、用途に応じてそれぞれ長所と短所があります。ここでは各種の渦流探傷器について説明し、用途に最適なものを判断するお手伝いをしていきます。
渦流探傷器とは
渦流探傷器は金属部品の検査に用いられ、表面および表面下の探傷において高い信頼性を発揮します。この検査では、交流電流がワイヤコイルを通り、磁界が生成されます。渦流探傷器を試験体に近付けると、渦電流という電子の環状の流れが生まれ、試験体内を流れ始めます。この渦電流自体が磁界を発生させ、相互インダクタンスにより、探傷器のコイルと磁界の相互作用が起こります。表面または表面下の欠陥があると、渦電流の振幅とパターンを阻害し、結果として磁界も変動します。渦流探傷器はインピーダンスの振幅の変化を識別し、トレーニングを積んだオペレーターがそれを使用して欠陥を特定します。
オリンパスの探傷器テクノロジー
このセクションでは、オリンパスの渦流探傷器について、主な特長と用途を比較しながら見ていきます。
NORTEC™ 600探傷器
NORTEC 600渦流探傷器には、フルスクリーンモード対応の5.7インチVGAディスプレイが搭載されているので、どのような照明条件でも渦流信号をはっきりと読み取ることができます。NORTEC 600渦流探傷器は、最新の高性能デジタル回路を1台のコンパクトなポータブル機器に収めています。過酷な現場条件でも使用できるように設計され、極端な気象条件にも耐えられることを大きな特長としています。予測不能な状況で探傷を行いたい場合に、信頼できる機器となっています。
MultiScan MS5800™マルチテクノロジーシステム
MultiScan MS5800システムは、復水器、給水加熱器、熱交換器、冷暖房装置などの機器のチューブ検査用に設計されています。このシステムは、電流で2つのコイルに磁界を発生させます。磁界がチューブ材料に浸透すると、材料内にそれを打ち消す交流電流が発生します。渦流の流れの変化によって、あらゆる欠陥が識別されます。MultiScan MS5800システムは高速検査用に設計されており、1入力につき4つの周波数を同時使用して、最大2m/sまで検査速度を上げることができます。4つの渦流探傷（ECT）入力および最大64の多重チャンネルを備えているため、多数のECTチャンネルによる渦流アレイ（ECA）プローブ検査にも対応可能です。高速かつ正確なチューブ検査を実施できるNDT機器をお探しの場合、MultiScan MS5800探傷器こそが最適なマルチテクノロジーシステムです。
渦流プローブ
渦流プローブは、強磁性または非強磁性の部品や材料の検査に用いられる軽量なツールです。渦流プローブはさまざまな用途で使用できます。各種プローブの詳細と、用途に最適なプローブについては、こちらをご覧ください。
OmniScan MXモジュール式探傷器
OmniScan MX ECT/ECA探傷器は、厳しい環境下の検査に耐えられるように設計されています。渦流（ECT）、渦流アレイ（ECA）、ボンドテスト（BT）の技術を用いて、幅広い検査要件を満たします。OmniScan MX探傷器が多く使用されるのは、応力腐食検出、ECAによる表面および表面下の亀裂検出、ECAによる表面下の腐食検出、炭素鋼の表面検査です。主な特長としては、小型で軽量な設計であるほか、2個のリチウムイオンバッテリーにより、マニュアル探傷またはセミオートマチック探傷で最大6時間稼動します。
回転式ボルト穴スキャナー
回転式ボルト穴スキャナーの主な用途としては、航空機機体のボルトホール検査、車輪ボルトホール検査、材料表面検査、亀裂の製造後検査、チューブプラグ検査、航空機の低周波数検査などがあります。渦流探傷器用とともに使用する場合、600～3000 rpmの速度範囲、100 Hz～6 MHzの周波数レンジ、複数のコネクタータイプとプローブタイプからなる幅広い機能を搭載しています。プローブタイプには以下が含まれます：
- 反射ディファレンシャル
- アブソリュートブリッジ
- アブソリュート反射
- ディファレンシャルブリッジ
- ディファレンシャル反射
オリンパスのボルト穴スキャナーの詳細な仕様については、こちらをご覧ください。
オリンパスのテクノロジーは、さまざまな産業の非破壊検査用途に合わせて幅広く使用できます。当社が提供する渦流探傷器ソリューションの詳細と、当社のテクノロジーが厳しい品質規格や業界規制の準拠にどのように役立つかについて、当社ウェブサイトをご覧ください。
