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超音波厚さ測定 チュートリアル

4.2 音速と校正ゼロ

音速校正では、厚さ計は試験材料の基準サンプルの音速を測定し、その値を保存し、それを使用して測定された時間間隔から厚さを計算します。 音速に影響する主な要素は、材料の密度、弾性、組成、粒子構造、温度です。

ゼロ点校正では、厚さ計は厚さが既知の材料サンプルの測定値を使用してゼロ補正値を計算します。ゼロ補正は、合計パルス伝播時間に、試験片中の実際の音響経路以外の要素を表す部分を補正します。 ゼロ点値に含まれる主な要素は、厚さ計内の電子的スイッチング遅延、ケーブル遅延、探触子遅延、および接触媒質遅延です。 直接接触型探触子の場合では、探触子遅延は、音波エネルギーが保護用耐摩耗板を通して探触子から出ていくのに要する時間で構成されています。 二振動子型探触子の場合は、探触子遅延は音波エネルギーが探触子の遅延材または振動子同士の離れ具合により通過するのに要する時間です。 (モード2およびモード3の測定において、音波エネルギーの試験片への入射点を表す境界面エコーから時間間隔測定を行う場合には、ゼロ補正値の探触子成分は一般的にゼロとなります)。

音速およびゼロ点校正の推奨手順は「2点校正」です。これには、測定対象となる厚さ範囲内にあって厚さが異なり、その厚さが正確にわかっている試験材料サンプル2つが必要となります。 厚さが既知であれば、市販の試験ブロックを使う必要はありません。 より重要なのは、校正に使用する材料が被測定材料と厳密に同一であること、さらに理想的には表面仕上げも同じであることです。 この2つのブロックの厚さ比は2:1以上になる必要があり、最適な比は5:1以上です。

一般的な校正手順は以下のとおりです。
(1)探触子を厚い方の基準サンプルに接触させます。
(2)キーパッドを使用して、「速度校正」コマンドを入力します。
(3)測定値が安定したら、ENTERを押します。
(4)キーパッドを使用して表示値を調整し、厚い基準サンプルの実際の厚さに対応させます。
(5)探触子を薄い方の基準サンプルに接触させます。
(6)キーパッドを使用して、「ゼロ点校正」コマンドを入力します。
(7)測定値が安定したら、ENTERを押します。
(8)キーパッドを使用して表示値を調整し、薄い厚さ基準サンプルの実際の厚さに対応させます。
(9)MEASUREキーを押してプロセスを完了します。

厚さ計では、利用可能な4つのデータポイント、入力した2つの厚さ値とそれぞれで測定された伝搬時間を使用し、その方程式の解となる一意の音速とゼロ値が計算されます。 これらの値は測定値に使用され、設定の一部として保存できます。

2点校正
2点校正に続き優れた実践として挙げられるのは、厚さが校正に使用された2つの値の間にある1つ以上の追加の標準試験片で測定値をチェックすることです。 不正確な接触または数値入力をするとエラーになり、所与の厚さ計、探触子、セットアップに対して厚さが有効な測定範囲外となる校正用標準試験片を使用してもエラーとなります。 厚さ測定値が不正確で、そのうえ厚さが増すに伴いエラーが増加する場合には、エラーが速度値に起因する可能性が高くなります。 厚さが複数ステップ上で決まった量だけ不正確になっている場合、このエラーはゼロ点校正でのエラーである可能性が高くなります。 どちらの場合も、2点校正プロセスを繰り返す必要があります。

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