前項で述べたように、超音波フェーズドアレイ検査の本質は、振動素子個々または振動素子グループの励振遅延タイミングを変化させることによって、超音波ビームの方向(屈折角)および集束点を電子的にステアリングすることにあります。このビーム・ステアリングにより、一つのフェイズドアレイプローブで、プローブ自体を走査することなく、複数の角度検査、複数の深さポイント検査の両方またはどちらか一方が可能になります。
前述しましたが、超音波ビーム特性の定義には多くの要素が関係します。フェーズドアレイプローブの性能は、振動素子の寸法、周波数、およびダンピングといった、従来型単一振動素子の性能を左右する要素以外に、従来型と同等の開口幅を実現するために、従来型より小型の振動素子の個々の配置、サイズ、そしてグルーピングをどの様にするかということにも影響されます。
フェーズドアレイプローブ用に、N個の振動素子をグループ化し開口幅を生成します。それにより指向角を従来型探触子モデルを用いて同様に考えることが可能になります。
フェーズドアレイプローブ用に、最大ステアリング角(-6dB時の)を指向角の方程式から導き出すことができます。小さい振動素子の方が指向角は広く、角度エネルギーの含有量も多くなります。この指向角と角度エネルギーを組み合わせると、ステアリングを最大にすることができます。
ステアリング範囲は斜角ウエッジを使用することによって、さらに変更を加えることができます。理由は斜角ウエッジは電子ステアリングとは独立して音波ビームの入射角を変更できるからです。
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