発電施設の配管において、クロム(Cr)の含有量が低い炭素鋼は加速腐食の影響を受けやすくなります。 ハンドヘルド蛍光X線分析計でクロムの含有量を調べることが、配管の寿命を予測する上で極めて重要です。
炭素鋼のプロセスラインでは、配管表面に保護酸化被膜(マグネタイトまたはヘマタイト)が自然に形成されます。 流量が多い場合、この酸化被膜が剥がれる恐れがあります。 配管材が酸化被膜を再生しようとしても、流量が多いため再生された皮膜も剥がれます。 この腐食現象を流れ加速腐食(FAC)といいます。 FACが悪化するのは、多くがエルボー、ティー、径違い継ぎ手などの継ぎ手からの乱流が原因です。 腐食モデルでは、クロム含有量が0.04%に満たない炭素鋼はFACの影響を受けやすいと予測しています。 このモニタリングしきい値は、当社のVanta分析計による鉄ベース鋼内のクロムの分析範囲内です。 炭素鋼パイプ内のクロム含有量が少しでも多くなると、流れ加速腐食速度が大幅に下がります。 したがって、炭素鋼内の低含有クロムを高精度に測定することが、パイプの寿命を予測する上で重要です。 |
以下は、炭素鋼内のクロム分析時のVanta分析計(VMRモデル)が示す画面上の測定結果です。 ご覧のように、FAC予測に必要なレベルの正確なクロム測定結果が7秒足らずで表示されます。
検査対象試料: IARM 229B Cr認証値: 0.017% | 検査対象試料: IARM 209A Cr認証値: 0.065% | 検査対象試料: IARM 28B Cr認証値: 0.13% | 検査対象試料: IARM 35B Cr認証値: 1.12% |
炭素鋼内のクロム性能
Vantaハンドヘルド蛍光X線分析計は、炭素鋼内の低含有クロムを高速かつ正確に測定して、配管が流れ加速腐食から受ける影響を判別できます。 クロム含有量を把握することで、発電施設の配管修理を適切かつ予防的にスケジュールできるため、漏出の危険性や継ぎ手の不具合を最小限に抑えられます。 |