問題:農学科学者や農業技術者は、適合度が低い土壌検査プログラムの誤った診断に苦労しています。 主な原因は、農地の均質性と広大な表面積によるもので、農地に誤った種類の肥料を施すことにつながります。 現在のガイドラインの下で行うラボ検査では、表土の金属汚染や多量要素と微量要素について、分解能の低い診断しか得られません。 また、高いコストがかかるため、ラボ検査はヘクタール当たり1か所に限定されます。
解決策:ポータブル蛍光X線(pXRF)分析計では、速く効果的な土壌検査が可能で、農家やコンサルタントに追加コストの負担なく検査分解能を向上できます。 現在のラボ検査方法では、ヘクタール当たり1か所の検査を行いますが、ハンドヘルドXRFでは10メートル当たり1か所の検査に増やせるので、サンプリングエラーが97%削減されます(Marek他に示されています)。
多量要素と微量要素の判定
植物には、多量要素と微量要素、両者のバランスが必要です。 多量要素は、大量に必要とされ、植物バイオマスの乾燥重量の95%を構成する栄養素です。 これには、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、マグネシウム(Mg)、炭素(C)、酸素(O)、窒素(N)、水素(H)があります。 一方、微量要素は多量要素を吸収するための触媒として作用するため、必要な量はずっと少なくなります。 これには、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、塩素(Cl)があります。
植物の健やかな成長と種子の生成には、多量要素と微量要素の正しい量を確保することが重要です。 微量要素が不足している土壌へ多量要素を施すと、コストが増す上、田畑の限度を超えてしまう可能性があります。
Vanta™ポータブルXRF分析計では、さまざまな多量要素と微量要素のwt%およびppm濃度を速く正確に分析でき、従来のラボ分析よりもサンプリング密度がはるかに高くなります。 正確かつリアルタイムな定量的化学分析結果を取得することで、農学科学者は試料に肥料や微量要素添加剤を施す必要性を評価でき、必要な種類を決定することができます。
図1:図表は、Vanta pXRFを使いサンプリング密度を高め、削減されたコストでより多くの領域を分析し、土壌のタイプを適合可能なことを示しています。
土壌汚染評価用のポータブルXRF
ポータブルXRF技法は、世界的に環境保護機関で広く受け入れられています。pXRF分析計は、土壌の金属汚染の検査に用いられます。例えば、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、ヒ素(As)、水銀(Hg)、クロム(Cr)、硫黄(S)などで、すべて人体や植物に害を及ぼす恐れがあります。
図3:グラフは、鉱石試料と5種類の土壌に対する、Vanta pXRFとラボ分析データの比較を示しています。 このデータから、pXRFが明確で決定的な化学分析結果を示すことが明らかになっています。
肥料・飼料用のポータブルXRD
オリンパスのX線回折(pXRD)装置では、肥料、飼料、土壌の定量的化合物分析を、ラボ内と現場の両方ですばやく取得できます。 税関職員は、持ち込まれた肥料や飼料を評価するときに分析結果を使用して、組成が申告と一致するかチェックし、正しい税金が適用されていることを確認できます。
定量的な組成分析は、肥料や飼料の製造時に、中間工程を調整する際にも重要です。 オリンパスのpXRD技術は、土壌の鉱物学的基礎研究を提供することで農業研究にも役立ちます。得られた情報を科学者が使用して、不溶性鉱物相(イライトやリン灰石など)のカリウム(K)とリン(P)の存在量を評価することができるためです。